ポイント
検査方法にはいくつか種類があります。検査の受けやすさ、費用、検査結果の確実性などそれぞれにメリットやデメリットがあります。
- 超音波エコー検査:お腹の中の胎児の身体的特徴からダウン症の可能性があるかどうかを判断します。
- 羊水検査:羊水を採取し、羊水の中にある胎児の細胞から染色体異常があるかを調べます。いくつかある検査の中でももっとも高い確率で診断できます。
- 母体血清マーカー検査:妊婦の血液を採取し、血液中の成分濃度を調べることで胎児の染色体異常を調べます。
- 絨毛検査:子宮頸部へのカテーテル、もしくはお腹に注射をすることで絨毛という組織を採取し胎児の染色体異常の有無を調べます。
- 新出生児前診断:母体の血液から胎児の染色体異常の有無を調べる検査です。少量の血液採取で調べられるので母体や胎児に影響がありませんが、受けるためには妊婦が35歳以上であることなどの条件があります。
ダウン症の検査は妊娠中からできます。ただし、誰でも可能な訳ではなく35歳以上であることや両親のどちらかがダウン症の染色体を持っている場合など条件があるものもあります。
また、保険外なので検査費用が高額になり10万以上するものもありますので家族と相談しながら受けるかどうかを決めるとよいでしょう。
超音波エコー検査
■時期:妊娠9〜11週
■わかること:身体的特徴からのダウン症の可能性
超音波エコー検査では、赤ちゃんの顔や首にダウン症の特徴が現れていないかを確認します。首元にむくみが見られるような場合はダウン症の可能性があります。その他にも、
- 頭の大きさに比べて手足の短い
- 首が太い
- 小指の関節が一つすくない
- 鼻が幅広くて低い
- 耳が顔の下の方についている
などがダウン症の身体的特徴です。超音波エコーでこれらの特徴があるのかを調べます。しかし、その時々で胎児の体勢が違ったり見え方が変わったりするので正確にはわかりません。超音波エコー検査で気になる場合はより詳しい検査へと進みます。
羊水検査
■時期:妊娠15~18週
■わかること:染色体の異常
■費用:10〜15万円
妊娠15~18週頃に、超音波エコーを見て胎児の位置を確かめながらお腹に針をさして羊水を採取する検査です。羊水の摂取は5分ほどで終わり、その後もう一度超音波検査で異常がないか確認します。
検査後は、抗生物質や張り止めの薬を飲んで数日間安静に過ごします。羊水検査では採取した羊水から胎児の細胞の染色体を検査します。そのため、いくつかある出生前診断の中でも一番高い確率で診断ができることが最大のメリットです。
ただし、デメリットもあります。羊膜に穴をあけることになるので出血したり羊水が漏れたりして流産してしまう可能性があります。超音波エコーで胎児の位置を見ながら行っているとはいえ、ごくまれに胎児に触れてしまうこともあるそうです。
また、羊水検査は保険がきかないので費用が高額になります。全額自己負担で10万~15万円ほど。羊水検査でわかるのは、染色体の異常のみで他の疾患に関してはわかりません。
母体血清マーカー
■時期:15~21週まで
■わかること:ダウン症候群、18トリソミー、開放性神経管奇形の確率
■費用:1〜2万円
母体血清マーカーテストでは、母体の血液中のホルモンやタンパク質を調べます。少量の血液を採取して血液中の成分濃度を調べることによって、胎児に染色体異常があるかどうかがわかります。採血のみの簡単にできる検査で母体にも胎児にも負担がありません。
金額も1~2万円で受けることができます。ただ、異常があるかどうかの可能性を調べる検査なので異常がどこにあるのかはっきりとはわからず確定的な診断ではりません。より確定的な診断を受けたいときには、羊水検査を受ける必要があります。
絨毛検査
■時期:10~12週
■わかること:染色体の異常
■費用:10〜20万円
絨毛検査は超音波エコーで胎盤の位置を確認しながら子宮頸部にカテーテルを入れるか、お腹に注射することで絨毛を採取します。採取した細胞を培養することで染色体の数の異常や欠損などを調べます。
カテーテルでうまく採取できない場合は腹部への注射になりますが、羊水検査ほど深く注射しないため流産のリスクは低めだと言われています。
胎児の細胞を検査できる羊水検査と違って絨毛検査では絨毛という組織を検査します。そのため、ごく稀に絨毛モザイクという絨毛自体の異常が見つかることがあります。
新出生前診断
■時期:10~18週
■わかること:ダウン症、18トリソミー、13トリソミー
■費用:10万~15万円
新出生前診断(NIPT)は母体の血液から胎児の染色体異常を調べる検査です。2013年春から新しく取り入れた採血方法で、ダウン症(21トリソミー)、18トリソミー、13トリソミーの3週類が検査対象。
検査では20ccほどの採血ですみ母体にも胎児にも負担がないため、妊娠の早い段階から受けることができます。
ただし、新しく導入された新出生前診断には受けるための条件が3つあります。
- 妊婦が出産予定日時点で35歳以上であること
- 妊婦、もしくは配偶者に染色体異常があること
- 過去に染色体異常の胎児を妊娠・出産したことがあることです。
この3つに当てはまる場合は新出生前診断を受けることができます。
この検査で陽性反応が出た場合、染色体異常の可能性が高いという結果です。100%確実というわけではなく、逆に陰性でも確実にダウン症ではないという保証はできません。より確実な結果を知るには羊水検査や絨毛検査に進む必要があります。